無人庵　山椒録

■ 癌日記展

2006年06月29日（木）

中野幸次著“ガン日記”（文芸春秋２００６年７月号）を読んだ。神奈川近代文学館にて、中野幸次展が開催されていることを知り、出掛けた。彼の７９年間の生涯が、詳細に写真や文献で展示してあった。 　一つ一つ資料を読み解き眺めて、２時間半を費やした。最後に、今回死後初めて発見された“ガン日記”の肉筆が、公開されていた。“ガン日記”は、初めて毛筆で書かれていた。毛筆の原稿が、彼の最後の叫び声として、心に強く響いてきた。死に行く自己との壮絶な戦いが、余りと赤裸々に綴られていて、呆然と佇むのみであった。 　“人生如何に生くべきか”の最後の結論は、“人生如何に死すべきか”と言うことではないか。生まれ出ることは、自己では決定（けつじょう）出来ない。だが、如何に死すべきかは、自己で決定出来る。 　とは言え、自己の死を真正面に捉えることは、誰もが出来ることではない。自己の死を見据え、その心構えを決定することは、決して避けては通れない。 　彼は、“ガン日記”を残し、決然と自己の死を見据え、一人彼岸に発った。見事な生死に頭を垂れて、ただ去るのみであった。

■ 逃足迅速

2006年06月27日（火）

禅寺の修行道場の時を知らせる木版に、“無常迅速”の言葉が、よく書かれている。最近、無常迅速ならぬ、逃足迅速の話題が多い。 　先ずは、陸上自衛隊イラク撤収の陽の話。政府が撤収を発表した翌日に、早々に自衛隊の車両を載せた民間運搬車が、長い車列を組んで、隣国クウェートへ向けて、整然と撤退した。逃げ足の迅速さは、見事と言えよう。 　次は、日本サッカー協会逃げ足の陰の話。どうも、日本サッカー協会の逃げ足の迅速さは、戴けない。記者会見の席上で、ブラジル戦の大敗の前に、協会トップが、次期監督の名前を、事前に仕組んだと思われる失言でその名前を漏らした。協会トップの敗戦責任逃れではと、マスコミも批判している。敗戦後、マスコミは一斉に“独裁のKにレッドカード”“Kの腹黒責任転嫁”と声高に報道している。トップのきな臭い逃げ足は、止めてもらいたい。 　戦争では、前進するよりも、撤退することが難しい。何事も、潔く退くことは、至難の業だ。見事な逃げ足を見せて欲しい。 　　　　　　　あぢさゐや　自然法爾の　顔となり

■ 千日回歩

2006年06月24日（土）

千日回歩行２年終了ー七百日回歩行成就 比叡山で行われる天台宗の修験道の修行を、千日回峰行と言う。千日回峰行に倣って、千日回歩行（せんにちかいほぎょう）と名付けている。 雨の日を除く毎日、朝６時過ぎから半時間真向法・ラジオ体操他、その後一時間ジョギングを兼ねてウォーキングをする。一日合計一時間半のトレーニングを一日回歩行とする。千日回峰行は、七年間で満願となるが、千日回歩行は、三年間余で成就する予定である。６月末で、二年間７百日回歩行を迎える。 回歩行の道は、梅丘通り沿いにある北沢川の桜並木の緑道と、その道を改修したせせらぎの散歩道である。自然の恵みが僅かに残る道は、四季の移ろいもあり、田舎の風情も偲ばれる。 　今年３月からご詠歌を習い始めたため、回歩行途上にある環七の歩道橋で、発声練習をしている。自動車の騒音に大声が掻き消され、格好の練習場となっている。秋の静岡での全国大会初出場に向け、特訓中である。 千日回歩行は、後一年余で満願成就の日を目指して、現在修行中である。

■ 犯人誰何	2006年06月23日（金）
１２日サッカーW杯で日本は、初戦豪に完敗だった。２３日未明の２戦目のブラジル戦を前に、マスコミを筆頭に早くも犯人探しに、躍起となっている。 　週刊誌の見出しは過激で露骨である。“こんな日本代表に誰がした。”“ジーコジャパンの終焉”“独裁者川淵キャプテンの進退を問う”等々と喧しい。 犯人は誰かと叫んだところで、ブラジル戦に勝ちはしない。何故もっと前向きな論議をしないかと呆れるばかだ。 総ての試合が終了した後、冷静に反省し、次回の対策を考えれば良い。先ずは、ブラジル戦を応援しよう！

■ 派遣報告

2006年06月22日（木）

６月２０日政府は、イラク南部サマワに派遣した陸上自衛隊の撤収を決めた。平成１６年１月に派遣された陸自の支援活動は、２年半余で終わる。陸自の派遣員には、１人の犠牲者もなく、無事に終了することを祈る。関係者に対し心からその労に感謝したい。 　だが、国民に対して、派遣された陸自の活動報告が、不思議な程、少ない。政府は、国民への説明責任をまったく、果していない。 一部飲料水の運搬、道路工事や病院等建物の改修工事がテレビで流されただけである。広報担当者を常駐させている割には、貧弱な広報活動である。支援活動に巨額な費用を要したが、その詳細も報告されていない。 　陸自の撤収完了が７月末、小泉首相の任期は９月の予定と言う。まさか、小泉さんは、辞任して、説明責任を果さず、総て水に流して、お終いでは、ないでしょうね？自分で蒔いた種は、責任を持って刈り取って下さい。 　下記のブログ＜蛙の独り言”無人庵”＞公開中 　　 http://mujinan.cocolog-nifty.com/blog/

■ 守銭猛士

2006年06月21日（水）

守銭猛士（しゅせんたけし）は、守銭奴猛々しいを捩った名前である。福井俊彦日銀総裁のニックネームが、守銭猛士であると言えば、ブッラクユーモアと茶化されるだろうか？ 　守銭猛士氏は、昨日村上ファンドに１０００万円を拠出して、６年間で評価額が、総額２４７３万円となり、その単純利回りが、年率１６％であったと発表した。銀行の普通預金金利は、僅か年率０．００１％である。庶民が、１０００万円預けて、１年間で何と１００円の金利だけである。彼は、庶民の１６、０００倍の利益を得ていた。 　日銀副総裁まで上り詰め、一度は野に下ったが、待望され平成１５年３月総裁就任した。通貨の番人として、国内のみならず海外でも通貨の神様と崇められていた。だが、野に居た時点での拠出金のみならず、時価３４００万円相当の５企業の株を、総裁就任時点に処理することなく、持ち続けていた。 　生粋の日銀マンとして、通貨のプロ中のプロと自認する守銭猛士氏の常識は、庶民の非常識か？国会の答弁も記者会見の発言も、反省の素振りもなく、まさに、盗人猛々しく、開き直っていた。 　守銭猛士氏に忠告したい。庶民は、あなたのこの一連の不祥事は、許せません。これ以上の悪足掻きは、止めて下さい。見苦しいだけです。今は、潔く自主的に退場して下さい。出来る限り、早く辞任を勧めます。 下記のブログ＜蛙の独り言”無人庵”＞を初公開中！！！ 　　 http://mujinan.cocolog-nifty.com/blog/

■ 無種手品

2006年06月18日（日）

種無しスイカやぶどうは、人気が高い。だが、無種手品（種無し手品）はいただけない。種無し果物を作る農夫も、大衆を唸らせる手品師も、ともにプロ中のプロである。しかし、どちらも口上だけのイカサマ師であったとすれば、プロとは言えず,何時かお縄を頂戴することとなる。 　元ライブドア―の堀江さんも元村上ファンドの村上さんも彼らの経営手法は、無種手品のお粗末なイカサマ賭博と言える。彼らは、金儲けのために、夜店での蝦蟇の油売り師の口上よろしく、無種手品で客を騙す手合いである。その手法は、時価総額や株主価値と言う建前口上を声高に唱え、株価を不法に吊り上げ、裏ではその高値の株を売り抜ける。何と浅はかな、イカサマ無種手品であろうか。 プロ中のプロとは、裏稼業のプロであった。なんとも、哀れな無種手品詐偽師か。いやいや、欲に目が眩んで騙された客の哀れさか。 今後も盗っ人の種は尽きない。客も他山の石として、賢くなりたいものだ。君子危うきに近寄らず！！！ 紫陽花の　おおぼんぼりや　小雪洞

■ 藍燦々歌	2006年06月15日（木）
プロゴルファー宮里藍さんが、アメリカゴルフツアーで苦戦している。いや、むしろ健闘していると言える。今年になって、国内ツアーを捨て、米ツアーに専念している。しかし、今年の１２戦中１０位以内は、４戦のみである。予選落ちが１回、５６位が最下位で、今週の全米女子プロ選手権３位が最高位である。 　若くして幾多の優勝を重ね万々歳な国内の環境に満足することなく、海外試合に挑戦する気概は、大いに評価したい。常に、技を磨き世界のトップを目指して、謙虚に戦う姿勢は、凄い。 このところ、社会の顰蹙を買う事件が多い。藍さんの健闘は、梅雨の合間の快晴燦々とした爽快さを覚える快挙である。 　　　あぢさゐの　未生の花弁　七変化

■ 決定我死	2006年06月12日（月）
自称我師中野幸次著“ガン日記”（文芸春秋２００６年７月号）を読んだ。 　“人生如何に生くべきか”の最後の結論は、“人生如何に死すべきか”と言うことではないか。生まれ出ることは、自己では決定（けつじょう）出来ない。だが、如何に死すべきかは、自己で決定出来る。とは言え、自己の死を真正面に捉えることは、誰もが出来ることではない。自己の死を見据え、その心構えを決定することは、決して避けては通れまい。 　ここから逃避せず、我死を真剣に考えるよすがとして、“ガン日記”を精読し、我死を決定したい。 　　　　＊緑立つ　左きみいへ　右かうや 　　　　＊岩肌に　明かりを灯す　さつきかな

■ 二人義彰

2006年06月07日（水）

“二人義彰”は“ふたりよしあき”と読む。その意味は、義明と世彰の二人を指す。正確には、堤義明氏と村上世彰氏の二人を指す。元西武王国の御曹司と村上ファンドの元寵児である二人は、共に株に絡む犯罪行為によって逮捕された。前者は罪を認め、裁判中であり、後者は昨日逮捕され、取調べ中の身である。 　義明氏は、政財界を我が物顔で牛耳って、法人税を支払わず全国規模の開発をして、西武王国を築いた。世彰氏は、巨額な資金で企業買収を仕掛け、企業を手玉に取って、荒稼ぎしていた。 二人ながらその強引な手法は、顰蹙を買っていた。だが、天下国家のためとか企業価値向上のためとかの大義名分の前では、誰もが正面切って批判のしようもなかった。しかし、二人とも、同じように表の顔では正義を唱え、裏の顔では、不正を行っていた。天網恢恢疎にして漏らさずの喩えの如く、二人とも逮捕され、司直の手に掛かった。 “二人義彰”は、いつの世にも見られる、拝金主義に陥った哀れな人間の末路である。 我ら凡人の身は、少欲知足の教えを守り、身と息を調え、心を磨いて、日々愚直に生きる以外にあるまい。 　　　 鶯や　神の語り部　古道ゆく

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