無人庵　山椒録

■ 晩節汚すべし	2004年11月30日（火）
企業破綻・倒産や贈収賄事件で企業経営者・政治家・官僚達が、晩節を汚している。権力は腐敗すると言われていても、その陥穽に落ち込む事件は廃れない。権力の魔力にいつしか虜にされてしまう人間の哀れさだ。人生の終局に当たり、断罪される姿は、痛ましい。 　だが、晩節に断罪されないままに生を全うすることが幸せだろうか。裸の王様のまま、真の自分の姿を知らされず生きる空しさは、常に残る。むしろ晩節を汚し、普通の人間としての幸せを取り戻し、心安らかに生を全うすることを望んでいよう。晩節汚すべし！

■ 必殺仕置人	2004年11月26日（金）
法を犯す企業が、賑やかだ。食中毒隠蔽、牛肉偽装、自動車リコール隠匿、銀行書類虚偽、インサイダー疑惑と犯罪企業の続出である。犯罪企業は、倒産、消失、吸収されて、消滅して行く。 　犯罪が、発覚する蔭に、内部告発人と言う現代版必殺仕置人がいる。正義感に溢れた社員ではなく不満社員やリストラ社員が必殺仕置人と思われる。必殺仕置人が闊歩する社会は、やり切れない。必殺仕置人を出さぬ健全な社会が、待たれる。経営者は猛省すべし！！！

■ 十代神童	2004年11月23日（火）
少子化の現代であるが、このところプロの世界で十代の神童の活躍が華々しい。相撲の稀勢の里、柔道の石井、ゴルフの宮里、野球の辻本、フュギャァースケートの浅田等々枚挙に遑ない。重苦しいニュースの多い中明るいニュースは、人々に力を与えてくれる。 　子供の非行ばかり報道され、少子化の弱点を強調し過ぎる。十代の神童は、学力優秀だけでなく、運動優秀な神童も頼もしい。日本の将来に大いに期待できる証となろう。

■ 紙一重	2004年11月20日（土）
技の世界で、紙一重の違いは、勝ちと負けの大差がある。紙一重の違いの技は、プロの厳しさを示す技であろう。自分にしかない技がなくては、プロと言えない。そのプロの技に紙一重の違う技が加わらなくては、抜きん出た技は、生まれない。独自の技を、鍛錬することが、プロ中のプロである。 　紙一重の違いを出すためには、日々の地道な研鑚を重ねる以外に近道はない。正に、道無窮そのものである。

■ 天災と人災	2004年11月17日（水）
今年は、異常気象の影響から、猛暑や台風の記録的来襲があり、中越地震も発生した。台風や地震により多くの災害あった。それらの被災者の多くは、高齢者が目立った。天災の被害は、毎年あるが、高齢者の被害は、一層哀れである。 　人災では、北朝鮮による拉致事件の被害者とその家族が当事者として、厳しい境遇に永く晒されている。まだまだ、解決には、時間が掛かろう。被害者の家族の多くも高齢者である。 　天災は避けられない面があろうが、人災は避けられる問題で、何とも空しい。いずれも、高齢者に心ある支援が待たれる。

■ 一味と七味	2004年11月13日（土）
一味唐辛子は、唐辛子の一味である。七味唐辛子は、唐辛子・黒ごま・ちんぴ・山椒・麻の実・芥子の実・青海苔の七味である。唐辛子の味のみを楽しむには、一味だ。唐辛子の味をより深めるためには、七味が良い。どちら良いか、人の好みによる。唐辛子も一味だけだなく辛味・旨味の種類により、味わい深い。七味はそれぞれの種類の配合により、一層味は、幅広い。何事も極めることに面白味が出る。極める極意は、心のゆとりであろう。

■ 表街道・裏街道	2004年11月09日（火）
表街道は、誰もが歩む道であり、光りの当たる街道である。反面、裏街道は、意のある者の道であり、蔭の多い街道である。だが、表街道でなく、裏街道に人の心の機微が潜む。綺麗ごとでは済まない人生の真実は一筋縄ではない。表街道が理の世界であれば、裏街道は情の世界である。 表も裏も無心で過ごせば、それぞれに味がある。今は、裏街道の味深さを堪能したい。

■ 〆切	2004年11月06日（土）
〆切と言う区切りのない人生は、楽しい。自由気侭な人生ほど愉快な人生はない。 一方、〆切のない人生は、苦痛とも言う。〆切に追われる人生が、一般人の人生では、ないか。自己規制は、侭ならない。適度に強いられて送る人生が、不本意ながら気楽と言うことか。 　どちらの人生も、本人の自主的な選択に委ねるに如くはない。

■ 止むに止まれず	2004年11月04日（木）
３日アメリカ大統領選挙があり、即日開票された。勝負の最後の決戦場であるオハイオ州の開票結果で当選者が決まる接戦となった。開票結果は、ブッシュが１３万票でケリーを抑えたが、暫定票が１７万５千票あり勝敗は即日決定されなっかた。前回同様に法廷闘争に持ち込まれるのではと危惧された。しかし、翌日朝ケリーは敗北を認め、ブッシュ再選となった。マスコミ各社は、名誉ある撤退と称してケリーの決断を評価した。 果たして撤退に名誉ある撤退があるだろうか。退く場合は、苦渋の撤退以外には、ない。当人の本心は、止むに止まれず、悲痛の撤退だ。だが、今回のケリーの止むに止まれずに撤退したことは、賞賛に値する。